「峠の釜飯」と久し振りのご対面！

  久し振りにかの有名な「おぎの」の「峠の釜飯」を食べました。炊いた醤油飯としいたけ、銀杏、にんじん、たけのこ、鶏肉などの具を、あらかじめ陶器の器に盛り付け、これを長い座布団のようなもので覆って保温してあります。お客さんが来店しますと、すぐ出してくれます。往時の駅弁の感覚なのでしょう。
  素朴な味付けの醤油飯を味わい、それはそれで懐かしい思いにふけりました。

  この駅弁屋さんは、信越線の開通とともに明治１８年に構内弁当を開業し、駅弁販売は宇都宮駅についで古く、駅弁界の老舗中の老舗というお店です。
  しかし、ＪＲが窓の開かない特急中心のダイヤに変り、さらに平成９年に長野新幹線の開業と共に信越線の横川・軽井沢駅間は廃止になり、横川駅は信越線の起・終点駅になってしまいました。
  我々が食事中にも駅前の店にはほとんど客の姿がなく、非常に寂しい状況でした。さぞや四苦八苦しているのではないかと、同情を禁じえませんでした。

  ところが豈にはからんや、こうした交通手段の変遷や経営環境の劇的な変遷に柔軟に対応しつつ店舗も増やし、いまや従業員数は５８０名、年商は１００億円を超えるという実力を誇っているようです。駅売りから車内販売へ、鉄道中心からドライブイン中心への転換など見事と言うほかありません。