昭和初年からは今度はサンマ、カツオの不漁が続き、そして機船底曳も依然として不振続きでした。加えて、世界恐慌の影響を受けた経済不況のため高級魚の魚価は低落し、タイ、ヒラメ、スズキ、アジ、サバ、タコなどの櫓漕ぎ（ろこぎ）の釣漁は悲惨な状態に陥っていました。
  近海の沿岸漁業が大部分の磯浜は、このような機船底曳、釣漁の不振により経済的に大きな打撃を受けたわけですが、昭和７年（１９３２）をどん底として、イワシ漁の復調に支えられて回復に向い、１１年にはピークを作りました。
  この時期で特徴的なのは、水産加工品製造が盛んになってきたことでした。主な加工品はカツオ節、イワシ丸干、イワシ〆粕、田作（イワシ幼魚の佃煮）等でした。

昭和１６年（１９４１）１２月太平洋戦争に突入した、ちょうど１６年がイワシ漁のダントツのピークでした。（もっとも、この年の統計数値は額面通りには受け取れないということのようですが…）
  その頃からイワシの回遊が激減し始めました。カツオ、マグロ、サンマの不調も続いていました。さらに戦争が長引くに従って漁船の建造が困難となり、漁網・ロープ等の漁具も不足し、燃料の石油も入手困難となり、徴用により若手労働力の減少も深刻になってきました。
  戦争中の統計資料はどこまで信用していいのか分かりませんが、当然に漁獲量は大きく落ち込みました。

以上を通観してみますと、明治・大正・昭和戦前における磯浜の漁業は、漁獲には時期によって浮き沈みがあるものの、次のように概括することができるように思います。